BACKGROUND -背を流る-

周囲が住宅地の計画で、
特に課題となることが「プライバシー」と「明るさ」の確保です。
ただ、窓を設けて明るさと眺めを取るだけでは、
同時に外からも見えることになるため、その2つは矛盾した関係となります。
もう一つの課題は「広さ」の確保ですが、実は一番の難所かつ、
この仕事での醍醐味と考えています。
この家は、空間を認識させる1つの要素である<壁>を操作
して、プライバシーと明るさの確保、そして錯覚による空間の
拡張を感じられるよう計画しています。
歩道付きの道路に面する南東角地の敷地に建つため、
特に周囲からの視線が届かないよう、
ご家族が集まる生活の場を上階に設けました。
さらに、2つの道路に面したバルコニーの手摺壁を高くし、
目隠しをしたバルコニーに向けて大きな開口を設けています。
また、目隠し壁の裏面は、室内に対する陽光の反射板となり、
家の中に柔らかな光を送ります。
同時に、その明るさと大きな開口の配置により、
空間の認識は自ずとバルコニーまで拡がり、
室内を超えた目隠し壁までの広さを感じる錯覚を生みます。
この拡張された生活空間が、視覚的にも機能的にも室内化を
果たすことで、日々の暮らしの背景のように働き、ご家族の
四季を通した会話につながっていくことを期待しています。
hirakata/OSAKA 2020
撮影 今西浩文

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