海を望む新しい住宅街にある敷地は、道路からの高低差が2mを超える斜面となっていて、
道路の向かい側に下る斜面は緑地であり、プライバシーが保たれて眺望をえられる好条件でした。
クライアントの家のイメージは「おばあちゃんの家」。
庭先の縁側でひなたぼっこ、というシンプルかつ想いの詰まったキーワードから始まりました。
その原風景の要となる庭を計画するには、敷地の平坦部が足りないため、コンクリートのガレージを斜面に埋め込んで土留めとし、土留め壁をそのまま立ち上げて土を入れました。
まるで大きな植木鉢のように佇む庭、そこに向けた大きな開口は、軒から上階までつながる勾配天井の吹抜け空間を介して、家のイタルトコロで庭を感じられるよう計画しています。
先日、庭に1本の樹をご一緒に植えました。あとはゆっくり考えて緑豊かにされるとのこと。
いずれ庭が育ったら、次は誰かの原風景となってくれればと、
まだ来たばかりの小さな木立ちを見ながら想った次第です。
kobe/HYOGO 2017
撮影 伊藤彰